9月になること

みなさんちくしょうこんにちは、夏です

 

 

年が変わって、個人的時効を迎えた話をします。

 

 

 

 

 

去年9月

 


立川のロータリーを走ってる、小柄な男を見つけた

iPhoneを片手に髪型を気にしながら、私を探しているらしい

 


物陰に隠れてそれを見ていた私に気づいて男は言った

「あ、いた、初めまして」

 


出会い系で知り合った男とカレーを食べて映画を見るために会うことなっていた

 


日中の強い日差しとは裏腹に、夜はもう肌寒かったこの日

 


予定を全てこなした私たちは夜

お互い夏の間にできなかった花火をすることになった

 

終電も気にせず、楽しいなとはしゃぐ男の顔が

ひとつひとつの仕草が、綺麗だと思った

 

 


出会い系で知り合う人とは

顔の好みとか連絡の頻度とか、そんな些細なことが合わないだけでたやすく縁が切れる

 


なんとなく思った

「来年はきっと花火できないね」

 


唐突にこんなこと言われたら誰だって驚くに決まってるのに言ってしまった

 


男は「え、なんで、来年もやろうよ」と驚いていた

 


私には付き合っている人が他にいた

彼はこの後すぐ、私ではない別の好きな人ができた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時の彼は仕事が好きだった

昇進試験に取り組んだり、面倒ごとを任されてもするするこなしていた

 

 

 

「お互い切磋琢磨できるような女の人と付き合いたい」と、二人ベランダでタバコを吸う際よく言っていた

 

 

 

当時私は仕事をしてなかった

なぜだかできなかった

始めて2日で仕事を辞めたりもした

 

 

 

彼に認められる様にがんばりたいと思ってた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はよく、元彼女に女絡みをしつこく問いただされていて

 


お前にはもうなんだって話せると言って

私に渡してきた携帯の、その画面にあった元彼女とのやりとりを、彼は覚えていないらしかった

 


私の話がされていた

好きじゃないがよく会う女がいる、顔はタイプじゃないが一緒にいる、告白は丁寧に断っといたとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく悩んで、私は彼の連絡先を消した

 

 

 

 

 

 


tetoの「9月になること」を最近聴いた

 


南へと向かうあの人の影に、私の足で追いつきたいの

過ぎ去った夏が作り出した、ぶっきらぼうな夜を少し恥じた

あなたへの遠い遠い遠い遠い距離が、重なって重なって

 

 

ここで思い出してしまった

眠くなるまで映画を観たこと、好きなバンドが曲が同じだったこと、朝起きてパンを焼いたりコーヒーを淹れたりしたこと、同じタバコを吸い始めたこと、何時間もした電話くだらい日常のラインあの部屋の家具柔軟剤とシャンプーの香り

 


今でも許してない、きちんと謝られることもなかった

ただ彼に彼女ができた時、もうどうでもいいと思ったしさっさと別れればいいのにとさえ思った

 

 

思い出すたびに息がつまるこの記憶の供養に

後悔に、9月になることが響いて書いてしまったこのくだらない私の一夏に、さようなら